「ユリアちゃん、その」
困った顔で、ジャックがずっと入り口付近に立っているのに気づいたのは、もう、随分経ってからだった。
「いいの、別に。
ジャックのせいじゃないわ。
ラスベガスに行って資金を作っていたなんて知らなくてびっくりしちゃった」
私は涙を拭いて笑ってみせる。
何か言いかけるジャックの言葉を、あえて塞いで続けた。
「ママが言っていた幸運を呼ぶ猫のぬいぐるみが、ラッキーキャットのこと?」
ジャックは足音も立てずに、こちらへと歩いてきた。
「そうそう。
信頼できる人にだけ、そう名づけて貸していたの。
そうすれば、客も自分の幸運はぬいぐるみのお陰だと思うでしょう?
ほら、自分で高額当選したら身分証明しないといけないからちょっと面倒なんだよね。
それに幾らなんでも一人で百万ドルも稼ぐわけにはいかないよ」
その口許にろうそくの炎よりもっと儚い笑顔を浮かべて、ジャックが言う。
「そうなんだ。
お疲れ様」
その想いが、綾香に通じると良いなと。
そっと願わずにはいられなかった。
困った顔で、ジャックがずっと入り口付近に立っているのに気づいたのは、もう、随分経ってからだった。
「いいの、別に。
ジャックのせいじゃないわ。
ラスベガスに行って資金を作っていたなんて知らなくてびっくりしちゃった」
私は涙を拭いて笑ってみせる。
何か言いかけるジャックの言葉を、あえて塞いで続けた。
「ママが言っていた幸運を呼ぶ猫のぬいぐるみが、ラッキーキャットのこと?」
ジャックは足音も立てずに、こちらへと歩いてきた。
「そうそう。
信頼できる人にだけ、そう名づけて貸していたの。
そうすれば、客も自分の幸運はぬいぐるみのお陰だと思うでしょう?
ほら、自分で高額当選したら身分証明しないといけないからちょっと面倒なんだよね。
それに幾らなんでも一人で百万ドルも稼ぐわけにはいかないよ」
その口許にろうそくの炎よりもっと儚い笑顔を浮かべて、ジャックが言う。
「そうなんだ。
お疲れ様」
その想いが、綾香に通じると良いなと。
そっと願わずにはいられなかった。


