魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「ジャック、お金の準備が出来たの?」

「そう。
ラスベガスで、荒稼ぎ」

にこり、と。
邪気の無い笑顔でジャックは私を見る。

そうして、真剣な瞳を神様の隣当たりに向けた。

「だから、もういいんです、キョウさん。
後はおねがいできますよね?
円高なので1億とは言い難いけど。でも、9千万円はありますよ。
後は為替を見ながら両替しても良いし、このままドル建てで置いておくという手もありますから。
ラッキーキャットのレンタルを含めて、僕に足がつかないような手ばかりでお金を集めていますので、心配は要りません。
僕はここで終わっても悔いは無いですよ、ありがとうございました」

儚い声が空気を優しく揺らす。

「そう。
もう、いいんだ?」

ジャックの真剣さに比べ、神様の声は眩暈がするほど軽い。

「ええ。
人に迷惑をかけてまで後10日、生きようとは思いません。
いつ猫になるか、吸血鬼になるか。分からないほど不安定だった僕に<吸血鬼>で居るというしっかりした状況を味わわせて頂いただけでも、僕は十分に幸せでした」

嘘の色の無い、優しい声音に何故だか私が泣きそうになる。