魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「お腹すいてるよね、きっと。
ミルク飲むかしら」

ほとんど独り言のように言って、冷蔵庫に向かおうとした。
が。
クツクツと喉の奥で笑うキョウのことが引っかかって、思わず足を止める。

「ユリア。
そいつ、ミルクなんて飲まないよ」

「え?
こんなに小さいのにもう、キャットフード?」

じゃあ、買ってこないとって思う。
でも、一応牛乳試してみないと……

もう一度動こうとしたら、キョウがけらけらと声を上げて笑い始めた。
な……、何?

私、そんなに面白いこと言ったかしら……。

なんとなく、嫌な予感がする。

「ユリア。
俺は長い間魔界に住んでいるけど」

そこまでいって、再び笑う。
うう、何ですか?
そんなに可笑しいですかね、猫にキャットフードあげるってのが。

キョウは肩を震わせて、目に涙まで浮かべている。

どうよ、それ?

「見たことないな、そんなヤツ」