魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「ヤダ。
だって普通、下で練習してから上がってくるんじゃないの?
私、初めてなのにっ」

文句を言うと、彼は涼しい顔で微笑む。

「ユリア初めてだったんだ、気付かなくてごめんね」

一切反省の色を伴わない言葉が、耳当たりだけよく流れていった。

唇を尖らせる私に、キョウはにこりと微笑む。

「大丈夫だよ、北海道はパウダースノーだから転んでも痛くないし。
ここは日曜日の割には空いてるんだよ。なんて初心者向き!
それに、真っ白な世界が見たいって言ったのはユリアじゃない」

……なんですか、その言い草は!
東京でちらつく雪を眺めて、ロマンティックな想いに浸った私が悪かったって、そう仰るわけですか!!

くぅうっ。

私が悪態の一つでもつこうと思ったその刹那。

「俺が居なくても、ユリア、一人で降りて来れる?」

自信たっぷりの艶やかな笑みを浮かべて、魔王様が言い放った。
黒い瞳は百獣の王ライオンを思わせるような、野性的で強い光が宿っている。

くぅうううう~~~っ

「一回しか言わないからちゃんと覚えてね。
まず、転び方から覚えておこうか?」

なんて。

私のはらわたが煮えくりかえるような悔しさなんて歯牙にもかけない様子で、キョウは、プロのインストラクターよろしくスノーボードの基本的な滑り方の説明を始めたのだ。