魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

どれほどそうしていたのだろう。

キョウは躊躇わず、ジーンズにTシャツのままでざぶっとお湯の中に入ってきた。
広いバスタブなので、さほど問題は無い。私を背中からぎゅっと抱きしめてくれる。

「キョウ?」

「ユリアがのぼせるなら、俺も一緒にのぼせる」

拗ねた子供の口調でそんなことを言い出すから、私は思わず笑ってしまった。
涙は止まらないけれど。

「変だよ、それ。
私がのぼせるんなら、キョウはのぼせずに守ってくれないと」

キョウはゆっくりと、自分の顎を私の肩に乗せた。
優しい息が耳元にかかる。

「俺はのぼせても、ユリアを守る。
今日だって、絶対にユリアを守る自信があった。
こんなに怖がらせるつもりじゃなかった」

キョウは本当に反省しているのか。
こんなに近くに居るのに、キスの一つもしてこない。

「違うのっ。
そうじゃないの」

誤解も嘘も軽口も言葉遊びだって、うんざりだ。
少なくとも、今は。


私は裸のままで、キョウのほうを向く。

お湯の中で正座した。
握った指先はもう、ふやけてしわくちゃになっている。
でも、そんなのだって今は、関係ない。

中途半端に水を浴びたキョウは、濡れた前髪もそのままに、いつになく真剣に私を見つめていた。