魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「ユリア、背中流してあげようか?」

心配してくれたのか。
すりガラスの向こうから、キョウの声が聞こえる。

「それとも、ここで抱いてあげようか?」

低い声が下卑た台詞を魅惑的な色に変えるのを聞いていても、何も言い返す気にはなれなかった。

「ユリア?」

私が返事をしないのを心配してくれたのか、ゆっくりドアが開く。

キョウはジーンズに長袖Tシャツという姿のまま、迷いなく足を踏み入れてきた。

お湯の中で膝を抱えて泣いている私の頭に、そっと手を置く。

「ごめん。
そんなに、怖かった?」

うん、って頷けば話はまとまるって。
理性ではちゃんと分かっているのに。

それでも私は頷くことなんて出来なくて、首を横に振る。

「どうしたの?」

私は答えることが出来ない。

「独りで泣きたいんだったら、外で待っててあげる」

……なんで。

なんで、コイツは。

突然こんなに優しくなるんだろう。

悪魔のクセに。

……なんで。

なんで、私は。

こんなに不安になるんだろう。

悪魔だって、分かっているクセに。