魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「それでも、ジャックに殺されたいの。
駄目?」

「俺は人助けはしても、人は殺さないんだよ、ごめんね」

ふわり、と。
ジャックはその口許に儚げな笑みを浮かべて囁いた。

はぁ。
なんて素敵な台詞なんでしょう。
うちの魔王様に煎じて飲ませてやりたいくらいだわ。

「でも、もううんざりなの。
こんなにお金がなかったら、学校にだって通えないわ」

確かに。
うちの高校は進学率も高いが、授業料も結構高い。

だから自然と、親が金持ちである人間が集まってくるのだ。
そんな中で一人、法を犯してまで働かなければならないなんて、肩身が狭くて辛いだろうと、想像は出来る。

「いくらだ?」

キョウがむっとしたように言った。

「は?」

綾香がぽかんとキョウを見る。
が、ここでようやくキョウの見目の良さに気づいたのか、何故か急にコートの前を抱きしめるようにして頬を朱に染めてしまった。

ま、まぁいいか。
私はなんとなく心に浮かんだざらつく感情を必死で飲み込まなければならなかった。