魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「ユリア。
そうやって逃げ続けるのは精神的に辛いものだ」

キョウの低い声が凛と響く。

「それに、未成年には何かと保護者が必要だろう」

「叔父さん以外に頼れる人はいないの?」

「ママのお姉さんが居るわ」

「じゃあ、そちらに頼むべきね。
とにかく、変態からは逃げないと」

あ、あれ?
私一瞬心が痛んだ気がするけど。
まぁ、自分のことはさておいて。

「ユリア、逃げていては埒が明かない。
ここは一つ、敵を陥れてやろうではないか」

……不遜な声が、頭の上から響いてきた。

なんだかとっても楽しそうに聞こえるんだけど。

「ジャックはどう思う?」

なんて、ジャックを巻き込むのは止めて欲しい。
だって、こいつはすでにキョウの信者なんだから……。

「もちろん、キョウさんについていきます!」

ほーらね。
こうなるに、決まってる。

私は密かに肩を竦めた。