魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「ユリアって本当に照れ屋だよね」

って、優しく囁かれても本当に困るんですけど。

「そういうときには素直に頷いてもいいのに」

……黙れっ。
  私は頬を優しく撫でる手を本気で振り払おうかどうか思案した。


振り払うのを諦めて、何か言い返そうと顔をあげたその時、ド派手な音がしてオフィスのドアが蹴破られた。
目をやれば、冷静な顔をしたジャックが、両手で拳銃を握ってそこに立っている。

私たち二人に目をやると、ジャックはふわりと微笑んだ。

キョウは軽く片手をあげてウインクを送る。

「早く頼むよ。
でないとうちのお姫様が、暴走してしまう」

わ、私がなんですって?

「それに、こんなシーンつまんなくって。
俺が見せたモノのほうがよっぽどソソっただろう?」

そ、それは何の確認ですか?

ジャックが一瞬意味ありげな色を瞳に宿すのも、勘弁して欲しい。
もう、あの夜のことは忘れてくれないかしら。