一体俺はどうするべきなのだろう。

 どうしたいのだろう。

 彩芽とはあと10か月したら会えなくなってしまう。

 10か月と聞くと長いような気もするが、こういう時にはどうせあっという間に過ぎてしまう。

 彩芽をどうにか生き返らせたい。

 それが俺の願望だ。

 それは現実離れした願いであり、彩芽が望んでいるとは限らない。

 それでも俺の心は彩芽を失った現実を受け入れられずにいる。

 彩芽のいない世界で生きていく俺というのは考えられない。

 これはただの俺の願望。

 彩芽のためではないし、そう思ってはならない。

 彩芽が嫌だったとしても、俺の意志で彩芽を生き返らせるということだ。


 スマホに「人を生き返らせる方法」と打ち込んで、検索をかけた。

 人を生き返らせることはできない、故人は私たちの胸の中で生きているなどというどうでもいい綺麗事が並ぶ。

 そんなので解決するんだったら、こんなことを検索しない。

 そんな答えは求めていない。

 俺の気持ちは一時の気の迷いなんかじゃない。

 時間が経ったところでこの思いは変わらない。

 何だもスクロールを繰り返して、「私は彼のおかげで生き返ることができました」というツイートが目に入った。

 その女性の投稿を遡っていくと、こういうことらしかった。

 幽霊となるのは生者に生きて欲しいと思われた自殺者で、この幽霊は彩芽の言った通り1年で消えてしまう。

 また、その幽霊が現れるのは故人が死んだ日の天気、時間帯のみ。

 そして、生き返る方法は自殺者に生きたいという気持ちを芽生えさせることだった。


俺は、彩芽に消えてしまうまで彩芽を楽しませると嘘をついた。

彩芽を楽しませるのはただの手段で、目的ではない。

嘘をついたとしても、俺は彩芽を生き返らして見せる。