曇天模様の空の下、俺は未だに生きている。

 彩芽は何でもないことのように魔法の笑みを浮かべて、笑った。

「死んだ後、1年間は無念を晴らすためにこっちの世界で行動できるらしくて、自殺した1年後には消えちゃうんだって」

 その事実を、彩芽はまるで仕方のないことだと受け入れているかのように、軽く笑い飛ばした。

 でも、俺は笑えなかった。

 彩芽がバレても消えないのなら、これからもずっと会えるものだと思っていた。

 それが叶わないと知った瞬間、胸が締め付けられるようだった。

 後悔と自責がせめぎ合い、胸がきつく締めつけられた。

 なのに、もう8か月もしたら彩芽とは会えなくなってしまう。

「あと、もう8か月しかない?」

 俺の問いに、彩芽は少しだけ目を伏せて頷いた。

「もともと、死んだら会えなくなると思ってたわけだし、1年会えるだけでも奇跡なんだけどさ、仕方ないことだけど、やっぱ寂しいね」

 雨が降りしきる空を見上げた。

「うん」

言葉が出ない。

どう言ったって、彩芽の気持ちを軽んじてしまうのだろうという心の隔たりを感じた。

「1年で会えなくなるって言ったら、蓮はへこみそうだから、言わないでおこうと思ってたんだけど、やっぱ、耐えきれなかった」

 誤魔化すように笑う。

 それは彩芽なりの優しさだったんだ。

「そっか。ありがと」

 俺は彩芽の手をそっと握った。

 冷たいはずなのに、どこかぬくもりを感じるその手に、俺はしがみつくように力を込めた。