「ほら!早くっ!!」


「朝日ちょ……待って……」



元旦の朝に2人して私たちの高校の後ろにある山を登る。


高校から見える景色はひらけた透き通った海。


もちろん、その後ろの山ならもっといい景色が見えるはずだ。


ということで海斗と一緒に初日の出を見に行くことにしたのである。

ほんとに突然。


西側には藍色の空と、東側には茜色の空。


タイムリミットまで10分あたりだろうか。



「海斗ー!!もうちょっとだよっ!ほら、頂上見えてきた!」


「まじー!?すぐ行くわっ」


「りょーかーい!」


海斗が後ろから来るので、スピードを落として止まる。


そのあと、すぐに海斗が来て笑顔でまた歩き始めた。


「そーいえば朝ごはん食べてないや。」


海斗の言った言葉に私はニヤリと笑う。


「そかそか、どんまい。」


私の反応にちょっと拗ねたように口を尖らす海斗が可愛い。


「あ、着いた。」


これまでの苦しさなんて元からなかったように呟いた海斗に続いて私も前を向く。