いつか、君は私の生きる意味になる。

「…」
美雨は何も言えない。何を言えばいいのかもわからない。

気まずさに、視線を足元の点字ブロックに落とす。

江崎はそんな美雨の様子を気にする風もなく、隣に並び立つ。

「学校は?」

平坦な声で尋ねる江崎に、美雨は弾かれたように顔を上げた。

「あんたこそ、学校は?」

美雨の言葉に、江崎はキョトンとした顔で首を傾げた。
「ん?僕は休むけど」

その返答に、思わず眉をひそめた。
「義務教育だよ。行かなきゃ」

美雨の言葉に、江崎はくすりと笑った。
「義務教育は中学までだよ」

その言葉に返す言葉を失った。たしかにそうだ。

高校は義務教育ではない。行っても行かなくても、罰せられるわけではない。

だが、美雨の胸には拭いきれない焦燥感があった。