いつか、君は私の生きる意味になる。

重々しい空気の中、ホームのベンチに座っていた。

遅刻した。たったそれだけのことが、美雨の足から気力を奪い、重力となって大地に縫い付けていた。

ホームに滑り込んでは去っていく銀色の車体を無表情に見つめる。

学校はもう2時間目が始まっている。

このまま行ってもきっと無意味だ。

そんな思考が美雨を支配し、無力な沼へと沈めていく。

「あれ、甕川さん?」

不意に背後からかけられた声に美雨の肩が跳ねた。

振り向くと、そこに立っていたのはクラスメイトの江崎晴人だった。

いつもどこかぼんやりとした、掴みどころのない雰囲気の男の子。

その男の子の目が、じっと美雨を見つめている。