いつか、君は私の生きる意味になる。

汗ばむ額を押さえ、息を切らして駅の階段を駆け上がった。

あと数段、あと少し。美雨は必死に階段を駆け上がり、プラットホームに飛び出した。

息を整える間もなく、視界に入ってきたのは、扉を閉じていく電車の姿だった。

滑るように動き出した電車が、ゆっくりと加速しながらホームを離れていく。

車窓には、乗客たちの顔がぼんやりと映り、やがて夏の光に溶けて消えていく。

「あ......」

乾いた唇から、声にならない声が漏れた。

すでに電車は手の届かない距離まで離れてしまっている。

無情にも電車は速度を上げて、あっという間に視界から消えた。