いつか、君は私の生きる意味になる。

「こんな人間と関わって楽しい?」

美雨は、吐き捨てるように言った。

自分という存在を軽んじるように。

「楽しい」

江崎はふっと笑った。

「バカじゃないの」

「バカだよ」

江崎は、今度ははっきりと嘲笑うように言った。

それは美雨に向けられたものではなく、自分自身に向けられた自嘲だった。

江崎の笑みに、どうしようもなく動揺した。

「とにかく、わたしに関わらないで」

ペットボトルを投げ捨て、駆け出した。

自動改札を駆け抜け、駅ビルの入り口へと向かう。

エレベーターの前でふと足を止めた。

そして、階段の方へと方向を変える。

一段飛ばしで階段を駆け上がっていく。

歩く気力すら失っていた足に、再び力が落ちていく。

息が途切れ、心臓が大きくなり響く。

汗が頬を伝い、頬に張り付いた髪を乱す。

それでもわたしは走り続けた。