いつか、君は私の生きる意味になる。

隣にいる江崎は、アイスコーヒーを揺らしながら、ただ静かにホームの向こうを眺めていた。

その横顔に、なんの感情も読み取れない。

それは美雨には堪らなく不気味だった。

「なにが目的?ただ教室に居るだけで、存在しないような空気みたいな人間になんの用があるの?」

江崎は、ゆっくりとわたしの方に顔を向けた。

その瞳は、やはりどこかぼんやりしている。

「一緒に居たいから居るだけだ」

その言葉に、はっと息を飲んだ。

「空気のような人間でも関係ない」

わたしは言葉を失った。

胸の奥が、ぎゅうっと締め付けられる。

「…」

沈黙が重く、私の肩にのしかかる。

「そうでしょ?」

追い打ちをかけるように、江崎の声が囁く。

その声に思わず後ずさりした。