いつか、君は私の生きる意味になる。

「じゃあいいじゃん。今からどっか行こう」

江崎はそう言って、美雨の手を引いた。

美雨は抵抗することなく、江崎に連れられるまま、ホームの横にある自動販売機の前まで歩いていく。

「何飲む?」

「…別に、何でもいい」

江崎は美雨の言葉を聞いて、スポーツドリンクのボタンを押した。

「はい」

差し出された冷たいペットボトルを受け取ると、ゆっくりとそれを口に運ぶ。

ひんやりとした甘さが、喉の奥に染み渡る。

江崎は自分の分のアイスコーヒーを片手に、わたしの隣に座った。

「別に、学校に行かなくても世界は終わらないよ」

江崎はぽつりと呟く。わたしは何も言えなかった。

ただ、江崎の隣で、冷たいペットボトルを握り締めていた。

朝のホールはまだ人が少ない。わたしと江崎は、行き交う人々の流れに逆らうように静かに沈んでいた。