ジリジリと肌を焼くような日差しが、カーテンの隙間から部屋に忍び込む。

美雨は寝返りを打ち、髪にかかった髪の毛を払いのけた。

真夏特有の、湿気を含んだ空気が鼻腔をくすぐる。

隣のベットは、案の定冷たい。

母はもう起きて、仕事に行く準備をしているのだろう。

廊下の向こうから微かに聞こえるドライヤーモーターの音が、遠い雷雨のように響いていた。

リビングに行くと、母がコーヒーを入れているところだった。

美雨の方をちらりと見て、「朝ごはん、テーブルに置いてあるから」とだけ言い、また手元に視線を戻す。

その手元には、朝の忙しさとは違う張り詰めた空気が漂っていた。