屋敷のベルが鳴った。

来訪者だ。

きっとエレン様だ。

あぁ・・・私のオアシス。

「エレー・・・・」

「ダーリンっ♡」

え?

「わわっ。ルーチェ?」

なんでルーチェが・・・・。

「ダーリンが来るってお母さまから聴いていたのよ」

「そうか、母君に聞いていたか」

待って、今ルーチェなんて・・・・?

「ダーリンとか恥ずかしいな」

「じゃぁなんて呼べばいい?」

「そうだね・・・・そのままで」

「ふふっ。わかったわ、エレン」

なんで・・・・!?

「エレン様!?」

私は気が付けば、そう叫んでいた。

なんだかその先の二人を見ていられなくて、飛び出す。

「あ・・・フィン?」

「なんで二人は・・・・」

「あらフィンじゃない。いたの?お仕事をサボっているのではなくて??」

「な・・・」

「仕事サボってんのか?だめだろ・・・まったく・・・。本当に君にはがっかりだよ」

仕事って?この家の掃除が私の仕事なの?

そんなこと違うでしょ!?

「私の仕事は・・っ」

「さぁエレン。お母さまもお待ちしているから早くお茶にしましょ?」

「そうだね」

二人は笑顔で腕を組んで私の横をすり抜けいく。

その途中で、「だから婚約者もとられるのよ。バカな子ね」と言われる始末。

私はいったいなんだっていうの?

私がなにをしたらこんな目に遭うの?

そう、大好きだった婚約者のエレン様へ叫んでも、聞こえやしない。