「あっ、」
風で私の被っていた帽子が吹き飛ばされた
海の近くを歩いていたから帽子は海の上
「さいあく……」
私は泳ぐのが大の苦手で全く泳げない
でも、あの帽子は大好きなお母さんがくれた帽子…
背に腹は変えられない、、
私ならいける。私なら
これまで泳げた記憶がないのに謎の自信が湧いてくる
「よしっ」
覚悟を決めて飛び込む
やばい、
体がどんどん沈んでいく
あと少し、あと少しで帽子を掴めるのに……
視界がだんだん暗くなっていく
もう苦しくもなんともない
私、ここで死ぬんだ________
「っ、」あれ、?私生きてる?
「大丈夫?」と心配そうな顔でこちらを見つめる君
髪も服もびしょ濡れで
一目で私を助けてくれたんだって気づいた
お礼を言わなくちゃ、助けてくれてありがとうって
伝えなきゃ、伝えなきゃなのに
そこで私の意識は途切れた
