清に言われた意味がわかんねぇまま女に視線を戻す。

後ろに跳び退りする勢いで、女がまたビクッとする。

俺の顔が怖ぇってのかよ。
んなこと言われたって顔なんか変えらんねぇし。

潤んだ目をして俺を凝視する女に、ハァっと息を吐く。


「……別に……
捕って食おうってんじゃねぇよ……。」


形の良い女の眉が、驚いたように少し上にあがる。


「だから答えろ。お前がフラガの恋か?」


その目は恐る恐る俺を探るようだったけど。
それでもしっかり女が頷いた。


やっぱりコイツが………。


マジで偶然だったけど。
有り得ねぇぐらいの確率だったけど。
会うことなんか絶対ねぇと思ってたけど。

こんなチャンスを使わねぇ手はねぇ。


俺は表情を変えずに、女を射抜いたまま、あくまで命令口調でこう言った。


「週末… 時間作れ。」