『…フラガの恋ってお前か?』


……はい?

目をパチクリさせる私に、同じ質問が浴びせられる。


『フラガの恋っつーのはお前のコトか?』

た、確かに常連さんなんかは【Flowery Girl】を略して【フラガ】と呼ぶけれど。
外で会ったお客さんには【フラガの恋ちゃん】って呼ばれたりするけれど。
たまに彼女に嫌々連れて来られてる男の子もいるけれど。

どんなに記憶を辿っても、この手の方々がウチにお買い求めにいらっしゃったことはない。
だってどう考えたって必要無い。
どう見積もっても縁が無い。

白学らんにピンクのお花?
ウンコ座りでハート柄?
テディを抱いて回し蹴り?

おかしいじゃん。
おかしいよ。
絶対おかしいって。

今日はいつもの10倍位想像力が豊かになっているらしい私。
目を泳がせながら、愉快な不良たちを頭に浮かべる。


『おいっ!』


現実逃避をはかった私を、狼の一声が現実に引き摺り戻す。


『質問に答えろ。……お前のコトか?』


何で聞かれてるのかもわからないけど。
何で私を知ってるのかもわからないけど。
どうせあんなコトやこんなコトをされてしまう身。
今更何を恐れよう。

大きく息を吸い込んで……


「……そう……だと思いま…す?」


やっぱ怖い……。