君がいない夏を、もう一度壊す。



「…柚希、?」

「うん、何?」

「…本当に、柚希だよな?」

「え?なになに急に。夏目柚希だよ?」


全部、夢だったのか?

夢だとしたら、ずいぶん長くて現実味を帯びた夢だった。

夢の中では大体第三者視点が多いのにも関わらず、今回は全部僕目線だったし。
何回、夢で泣いたのだろう。

頬を触っても、目に触れても、腫れていたり涙の跡がついていることはない。


まさか過去にタイムスリップするわけがないし、これは夢だったのだろう。

それとも、今が夢なのだろうか。

頬をつねっても痛みは感じる。少し強めに頬をビンタすると、ジンジンした痛みも感じた。


よかった。

本当に良かった。


夢の中の柚希の遺影を思い出し、涙がこぼれてしまう。

「柚希、っ…」

朝っぱらから泣きながら抱きつく僕のことを「本当にどうしたの!?熱でもあるの!?」と驚きながらも抱きつき返してくれた。


よかった。

よかった。


柚希は、死ななかった。


───全部夢だった、はずなのに。