君がいない夏を、もう一度壊す。



「スマート睡眠体験ゾーン」では、光と音で15分以内に睡眠できるという体験ができた。
不眠症を抱えたほのかが10分で寝れたのはびっくりだ。何かの催眠術でも使ってるんだろうか。

「感情共有インターフェイス」というお互いの感情をリアルタイムで共有する装置では、カップルが喧嘩して帰っていく様子を見て思わず笑ってしまった。


入場料が安く、休日なのにも関わらず人が全然いないことで期待はしていなかったが、意外と興味深く、気づけば9時入場からもう何時間も過ぎていた。


「…記憶同期型タイムリープ装置?」

怪しい。いかにも。
今日一番の嘘くささに思わず顔を顰めてしまう。

そもそも、タイムリープなんてどこかの子供向けアニメの某ひみつ道具だ。現実世界でできるなんてそんなのあり得ない。



「ねぇ、そろそろご飯食べない?私、お腹すいちゃって」

ほのかが僕に声をかける。思いの外夢中になっている拓海の横で、お腹を抑えて眉を八の字にしたほのか。


「…そうだね、拓海───」


声をかけようと思ったその時、強くぶつかる。


よくわからない展示に飽きたらしい子供が突進した結果、僕とぶつかったのか。


「わ、っ…」

思ったより強くぶつかられて、よろける。


壁に手をつけようと思った瞬間、思わず「触らないでください」と書かれた看板の奥の装置に触れてしまった。


瞬間、眩い光で視界が妨げられ、目をぎゅっと瞑った───