君がいない夏を、もう一度壊す。



代償。

もし柚希を救ったら、その代償で、僕と柚希の記憶が消える。


そんなの、嫌に決まってる。
ずっとずっと大切にしたい思い出の数々が、一瞬にして何かわからなくなるんだろう?

柚希のことを考えた時の愛おしさが溢れた瞬間も、柚希が隣にいる時の暖かいぬくもりも、全部全部、消えてしまう。


僕に残された選択肢は、「残り6回のタイムリープを何もせずに終わらせて、柚希は死ぬが柚希との思い出は残る」か、「タイムリープで柚希の過去と未来を変えて、柚希のことは何も覚えられないまま終わる」の2つ。



なら、僕は柚希の幸せを願いたい。

前者を選んでしまったら、柚希が何回も死ぬのを目の当たりにするなんて、そんなことできない。



「…柚希の死を、回避する」


それが、僕の中での1番のミッションだ。



柚希には、生きていて欲しいから。

たとえ“ののふだ”とやらが大きすぎる代償と思ったって、大切な人の命より大事なものはないのだから。


6月30日、午後8時。


僕の2回目のループが、始まった。