君がいない夏を、もう一度壊す。



「記憶同期型タイムリープ装置」という都市伝説はご存知だろうか。

基本、こう言った「タイムリープ」だとか「タイムスリップ」などの装置は嘘くさくて信じる気にはなれないが、この「記憶同期型タイムリープ装置」はそれらと少し違った雰囲気を醸し出している。


都内の某所にある展示の一角に、その装置は置いてあるそう。

大きなカプセルドームに入ればタイムリープできるのだとか、その展示に触れるだけでタイムリープできるのだとか、諸説はたくさんある。

最も濃厚な説は「その展示に触れたものの中から“後悔”の強い人のみ、その過去と未来を変えるために選ばれる」という説だ。

私は神様など信じてはいないが、こういう非現実的な話ほど人間は興味が湧き出るもので、私もその一員に過ぎなかった。

とあるサイトでは、また「記憶同期型タイムリープ装置」のことを「ヒューマンタイムカプセル」と呼ぶそうだ。

そして、そのどちらも、タイムリープする数には制限があり、7回までが限度とされている。

しかし、記憶同期型タイムリープ装置は“記憶同期型”と書かれてある通り、だれかの過去や未来をループ内で改変すると、代わりに自分が記憶を失うという代償も大きい。

つまり、例えば亡くなった恋人を救うために彼氏が過去と未来を変えたとしても、彼氏はその恋人の記憶を失ってしまうのだ。


それにしても不思議なのは、「記憶同期型タイムリープ装置」の話を調べていくと、妙に証言が一致している点だ。


装置の形状、場所、そして“記憶と引き換えに過去が変わる”という設定──

まるで、どこかの誰かが意図的にこの話を“拡散”しているかのような感覚すらある。

ネットの掲示板では、こんな書き込みも見つけた。

「高校の修学旅行で立ち寄った科学館で見た。“ヒューマンタイムカプセル”って書いてあった。友達とふざけて触った直後、1人が倒れた。でも、本人は『何も覚えていない』って言ってた。
……今思えば、そいつ、あの時から何かが変わった気がする。」

もちろん、こうした話は“作り話”で片づけてしまえばそれまでだ。

展示の存在も確認されていないし、証拠となるような写真も出てこない。

でも、“記憶を失った人間は、タイムリープした記憶さえも失う”という説が本当なら、
そもそも証言が残るわけがない、という理屈にもなってしまう。

それがこの都市伝説の一番厄介なところだ。


確認しようがないのに、なぜか「ありえそう」と思わせる、奇妙な説得力。

そして、どこか寂しげな余韻。


あなたの記憶の中にも、もしかしたら……
ふと、誰かが“消えてしまった記憶”があるのではないだろうか。


それがもし「ヒューマンタイムカプセル」の影響だったとしても──

もうあなたには、確かめる術はない。


今もその装置は、都内のどこかでひっそりと展示されているらしい。
何の変哲もない科学展示の一角に、静かに、誰かを“待っている”という。


もし、偶然その展示を見かけたら。
そして、なぜか懐かしさを感じたり、理由もなく涙が出そうになったりしたら。


どうか、触れないでほしい。


過去を変えるには、あまりにも代償が大きすぎるのだから。



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