私はしばらくその音を聞いていた。

しばらくすると、「あっ」という声がした。
失敗したのかな？それにしてもイケボだなぁ、と呑気なことを考えていると、次の瞬間、頭に強い衝撃があった。

ポーン、テンテンテン…と、ボールが地面に転がる。

私はまるで重力がここだけ重くなったかのように、パタリと地面に倒れた。

幸いなことに意識はあるし、ただ痛いだけなんだけど、めちゃくちゃ痛い。超痛い。

「うぅ……」

「すみません！大丈夫ですか！？」

どうやらボールの持ち主が来たらしい。

「あ、全然大丈夫です。もう痛みも引いて…って、凪さん！？」

「……？…………あ、今日の」

「今日はありがとうございました。私1人だったら殴られてたとこだと思います」

「元々トラブルを起こしたのは俺なんだし、全然良いよ。
それより、ボールぶつけてごめん。
痛くない？」