平川さんが席に着くと、間を置かず配膳の準備が始まった。メニューは事前に決められていたようで、並べられたカラトリーからコースなのだとわかる。
「せっかくの食事ですから、遠慮せず召し上がってください」
言葉とは裏腹に平川さんは表情を崩さない。
店の雰囲気にも、平川さんにも緊張を隠せない結衣だったが、出された料理を見て思わず頬が緩んでしまう。
しかし、今の状況を思い返しハッとしてそっと向かいの平川さんを見ると、結衣の存在自体そこにないかように、静かに食べ始めている。
その様子を見て、結衣は居住まいを正すと、黙って食べ始めた。
料理の提供ペースは早くない。
こんなレストランを利用することのない結衣もそのくらいは知識がある。
だから会話がなくとも、平川さんの食事のペースを気にしながら、出来るだけゆっくり、一口ずつを味わいながら食を進めた。
これじゃあ一人で来ているのと変わらない。
メイン料理が提供された時、結衣は意を決して口を開いた。
「あのっ、平川さん。
先日はすみませんでした」
平川さんの手が止まる。
ゆっくりと視線を上げると、一段と冷えた視線で結衣を見た。
怖い。でもこのままじゃこの場を設けてくれた部長と弥生さんにも申し訳ない。
視線を逸らさず、まっすぐ平川さんを見つめ返した。
「私はあなたから謝罪を受ける心当たりがありません。
せっかくの料理が冷めてしまいますよ」
平川さんは和やかな口調で、しかし変わらず低い声で淡々と結衣に告げる。
結衣はどう言葉を返してよいか分からず、「すみません」と呟くように答え、ナイフとフォークを手に取った。
「せっかくの食事ですから、遠慮せず召し上がってください」
言葉とは裏腹に平川さんは表情を崩さない。
店の雰囲気にも、平川さんにも緊張を隠せない結衣だったが、出された料理を見て思わず頬が緩んでしまう。
しかし、今の状況を思い返しハッとしてそっと向かいの平川さんを見ると、結衣の存在自体そこにないかように、静かに食べ始めている。
その様子を見て、結衣は居住まいを正すと、黙って食べ始めた。
料理の提供ペースは早くない。
こんなレストランを利用することのない結衣もそのくらいは知識がある。
だから会話がなくとも、平川さんの食事のペースを気にしながら、出来るだけゆっくり、一口ずつを味わいながら食を進めた。
これじゃあ一人で来ているのと変わらない。
メイン料理が提供された時、結衣は意を決して口を開いた。
「あのっ、平川さん。
先日はすみませんでした」
平川さんの手が止まる。
ゆっくりと視線を上げると、一段と冷えた視線で結衣を見た。
怖い。でもこのままじゃこの場を設けてくれた部長と弥生さんにも申し訳ない。
視線を逸らさず、まっすぐ平川さんを見つめ返した。
「私はあなたから謝罪を受ける心当たりがありません。
せっかくの料理が冷めてしまいますよ」
平川さんは和やかな口調で、しかし変わらず低い声で淡々と結衣に告げる。
結衣はどう言葉を返してよいか分からず、「すみません」と呟くように答え、ナイフとフォークを手に取った。

