【悠真】
悪いことしたな。
田宮さんが差し入れてくれた昼食はどれも美味しい。
シンプルなメニューだからこそ、丁寧に作られているのがよくわかる。
にもかかわらずあまり箸の進まない彼女の様子に、引き留めたことを後悔していた。
目の前の彼女はおそらく俺との食事で萎縮しているのだろう。
普段から部下に対して威圧的にならないよう接しているつもりだが、省みる必要があるのかもしれない。
「田宮さん。
少し仕事の話をいいか?」
田宮さんがこちらを見て小さく「はい」と返事をすると彼女の表情はすぐに仕事の時に見るそれに変わった。
「さっきのA社の提案書だが、作成は一人で?」
「はい。提出前に弥生さんにチェックを入れてもらいましたが、今回は手直しなしでオーケーいただきました」
オーケーをもらった時のことを思い出したのだろう、彼女の表情がふんわりと柔らかくなる。
仕事のことになるとあの加山よりも責任感が強く、指示に対しての精度も高い。
態度に出さないだけでチャレンジ意欲も高く、仕事を重ねる毎にどこまでやれるのか、教えがいがあるアシスタントだ。
少し考え、計画よりも早いが、俺の考えを打診することにした。
「田宮さん、A社のプレゼンには同行してもらえるか?」
瞬時に彼女の顔が青ざめる。
「あくまでも同行だけだから、そんな心配はいらない。
田宮さんは俺たちが気づかない視点からの提案も多くて助かってるよ。
アシスタントが手がけた仕事がどう活かされているのか、実際のプレゼンの場を経験することで、田宮さんにとってもこれからの仕事のプラスになると思うんだ。
まだ加山にも話してないから、来週には準備のサポートが出来るように段取るよ」
青ざめた彼女の不安を少しでも和らげることができればと思い考えを伝えた。
加山のサポートがあると聞くと、彼女の表情が少し晴れたように感じる。
ちょっとは緊張も解れたかとホッとする。
「せっかくの食事が俺とじゃゆっくり味わえないな」
「いえ、そんなことは…」
本音を隠さない彼女の態度に思わずクスッと笑いが漏れる。
「そんなこと、ある態度だな。
冷めないうちに食べてしまおう」
また小さくはい、と返事をした彼女の顔にもほんのりと笑顔が戻った。
彼女も興味のあるであろう仕事のことを話題にして彼女もようやく箸が進みだす。
興味深げに話題に食いついてくる田宮さんは聞き上手であるし、クルクルと変わる表情も会話を進める側を飽きさせない。
普段なら部下に話さないような苦労話もつい口にしてしまい、昼食だけのつもりが、気がつくと1時間以上経っていた。
まだまだ話が尽きないが、そろそろ休日の彼女を解放しなければと、名残惜しいが彼女に見えるように、話は尽きないが、と腕時計に目をやる。
「せっかくの休日に会社に立ち寄らせて、その上時間をとらせて申し訳ない。
昼食助かったよ、美味しかった。ありがとう」
「いいえ!
作られたのは美子さん、あ、オアシスの奥様ですし。
感想は美子さんにお伝えします。
それよりも部長のお時間をこんなにもとってしまってすみません。
お食事とお話しする時間をいただいてありがとうございます。
普段伺えないお話を聞けてありがたいです」
最後まで申し訳なさそうにしながらも、頬を赤らめる田宮さんがとても可愛らしく思える。
二人でタッパーを片付け、田宮さんを見送ると仕事に戻った。
悪いことしたな。
田宮さんが差し入れてくれた昼食はどれも美味しい。
シンプルなメニューだからこそ、丁寧に作られているのがよくわかる。
にもかかわらずあまり箸の進まない彼女の様子に、引き留めたことを後悔していた。
目の前の彼女はおそらく俺との食事で萎縮しているのだろう。
普段から部下に対して威圧的にならないよう接しているつもりだが、省みる必要があるのかもしれない。
「田宮さん。
少し仕事の話をいいか?」
田宮さんがこちらを見て小さく「はい」と返事をすると彼女の表情はすぐに仕事の時に見るそれに変わった。
「さっきのA社の提案書だが、作成は一人で?」
「はい。提出前に弥生さんにチェックを入れてもらいましたが、今回は手直しなしでオーケーいただきました」
オーケーをもらった時のことを思い出したのだろう、彼女の表情がふんわりと柔らかくなる。
仕事のことになるとあの加山よりも責任感が強く、指示に対しての精度も高い。
態度に出さないだけでチャレンジ意欲も高く、仕事を重ねる毎にどこまでやれるのか、教えがいがあるアシスタントだ。
少し考え、計画よりも早いが、俺の考えを打診することにした。
「田宮さん、A社のプレゼンには同行してもらえるか?」
瞬時に彼女の顔が青ざめる。
「あくまでも同行だけだから、そんな心配はいらない。
田宮さんは俺たちが気づかない視点からの提案も多くて助かってるよ。
アシスタントが手がけた仕事がどう活かされているのか、実際のプレゼンの場を経験することで、田宮さんにとってもこれからの仕事のプラスになると思うんだ。
まだ加山にも話してないから、来週には準備のサポートが出来るように段取るよ」
青ざめた彼女の不安を少しでも和らげることができればと思い考えを伝えた。
加山のサポートがあると聞くと、彼女の表情が少し晴れたように感じる。
ちょっとは緊張も解れたかとホッとする。
「せっかくの食事が俺とじゃゆっくり味わえないな」
「いえ、そんなことは…」
本音を隠さない彼女の態度に思わずクスッと笑いが漏れる。
「そんなこと、ある態度だな。
冷めないうちに食べてしまおう」
また小さくはい、と返事をした彼女の顔にもほんのりと笑顔が戻った。
彼女も興味のあるであろう仕事のことを話題にして彼女もようやく箸が進みだす。
興味深げに話題に食いついてくる田宮さんは聞き上手であるし、クルクルと変わる表情も会話を進める側を飽きさせない。
普段なら部下に話さないような苦労話もつい口にしてしまい、昼食だけのつもりが、気がつくと1時間以上経っていた。
まだまだ話が尽きないが、そろそろ休日の彼女を解放しなければと、名残惜しいが彼女に見えるように、話は尽きないが、と腕時計に目をやる。
「せっかくの休日に会社に立ち寄らせて、その上時間をとらせて申し訳ない。
昼食助かったよ、美味しかった。ありがとう」
「いいえ!
作られたのは美子さん、あ、オアシスの奥様ですし。
感想は美子さんにお伝えします。
それよりも部長のお時間をこんなにもとってしまってすみません。
お食事とお話しする時間をいただいてありがとうございます。
普段伺えないお話を聞けてありがたいです」
最後まで申し訳なさそうにしながらも、頬を赤らめる田宮さんがとても可愛らしく思える。
二人でタッパーを片付け、田宮さんを見送ると仕事に戻った。

