「あら、結衣ちゃん久々に早いのね」
18時台にはオアシスに辿り着くことができた。
驚く美子さんに迎え入れられ、今日はカウンター席に着く。
窓際のテーブルには年配の男性三人が談笑している。
「席が空いたら移るといいよ」
結衣にコーヒーを出しながら、マスターが囁く。
結衣は静かに頷くと、バックから参考書を取り出した。
仕事に役立つかもと思って始めたマーケティング資格の勉強だったが、久しぶりにテキストを開く。
部長のアシスタントになって、弥生さんのアドバイスや部長の指示を受けているからか、これまでよりも内容がすんなり入ってくる。
毎日持ち歩いているのに、残業続きで全く開くことがなかったテキストだったけど、バッグに入れといてよかった。
やっぱり形だけじゃなくて、実例も紐づくとイメージがつきやすい。
優秀な二人から仕事を教わるのって贅沢だな。
テキストの文字を目で追いながら、カップを手に取ると、香りを楽しみつつひと口。
鼻腔に抜けるコーヒーの香りと口に残るわずかな酸味に頭もスッキリする。
これまでよりテキストの内容が面白く感じられる。
今任されている企画書に関連しそうなカテゴリーを開きながら、頭の中で仕事の資料と重ね合わせた。
「そろそろコーヒーのおかわりはどう?」
美子さんに声をかけられ、ハッとして時計を見ると20時を回っていた。
テーブル席を見ると空いている。
テーブルの上も片付いているから、空いたばかりというわけでもなさそうだ。
「美子さんごめんなさい!カウンターで長居してしまって」
広げたテキストを慌てて片付ける。
「慌てなくていいのよ。今日はお客さんも少ないし、このままここでも大丈夫よ」
「カウンター占領してすみません」
結衣は申し訳なく思いながら、スツールに腰かけ直し、大きく息を吐くと自然と表情が緩んだ。
マスターも結衣に微笑みかける。
「ここのところ難しい顔してたから、ちょっとは息抜きになったならよかったよ。
こっちでやってくれた方が、結衣ちゃんのがんばってる姿が近くで見られて嬉しいよ。遠慮せずこっちの席もいつでも使っていいからね」
少し考えて、片付けたテキストをバッグに仕舞った。
「よしっ。今日はそろそろ失礼します」
結衣がマスターに向かって頭を下げると、マスターは優しく微笑んでくれる。
「たまには早く帰るのもいいね」
「今日もお疲れさま。
結衣ちゃん今週末、久々にどうかしら?」
美子さんは鍋を振るジェスチャーをした。
「いいんですか!ぜひお願いします!」
結衣は思わず大きな声を出してしまう。
オアシスはお店を開ける前にマスターが豆の焙煎や加工を行っている。
コーヒーをお店で出す以外にも、豆や粉を販売していて、近隣の会社や個人の方にも販売しているそう。
マスターがまとめて配達に出ているのを見たこともあるので、結構なご贔屓様がいらっしゃる様だ。
その時間に美子さんはお店の準備をしているのだが、結衣が休みの週末に時々ランチに誘ってくれる。
ランチと言っても美子さんと一緒に作るのだ。
美子さんは料理も上手でメニューのレパートリーも多い。
「孫娘と一緒に料理してるみたいで楽しい」と結衣に料理を教えてくれる。
週末もあまり予定の入ることのない結衣にとってうれしい誘いだ。
18時台にはオアシスに辿り着くことができた。
驚く美子さんに迎え入れられ、今日はカウンター席に着く。
窓際のテーブルには年配の男性三人が談笑している。
「席が空いたら移るといいよ」
結衣にコーヒーを出しながら、マスターが囁く。
結衣は静かに頷くと、バックから参考書を取り出した。
仕事に役立つかもと思って始めたマーケティング資格の勉強だったが、久しぶりにテキストを開く。
部長のアシスタントになって、弥生さんのアドバイスや部長の指示を受けているからか、これまでよりも内容がすんなり入ってくる。
毎日持ち歩いているのに、残業続きで全く開くことがなかったテキストだったけど、バッグに入れといてよかった。
やっぱり形だけじゃなくて、実例も紐づくとイメージがつきやすい。
優秀な二人から仕事を教わるのって贅沢だな。
テキストの文字を目で追いながら、カップを手に取ると、香りを楽しみつつひと口。
鼻腔に抜けるコーヒーの香りと口に残るわずかな酸味に頭もスッキリする。
これまでよりテキストの内容が面白く感じられる。
今任されている企画書に関連しそうなカテゴリーを開きながら、頭の中で仕事の資料と重ね合わせた。
「そろそろコーヒーのおかわりはどう?」
美子さんに声をかけられ、ハッとして時計を見ると20時を回っていた。
テーブル席を見ると空いている。
テーブルの上も片付いているから、空いたばかりというわけでもなさそうだ。
「美子さんごめんなさい!カウンターで長居してしまって」
広げたテキストを慌てて片付ける。
「慌てなくていいのよ。今日はお客さんも少ないし、このままここでも大丈夫よ」
「カウンター占領してすみません」
結衣は申し訳なく思いながら、スツールに腰かけ直し、大きく息を吐くと自然と表情が緩んだ。
マスターも結衣に微笑みかける。
「ここのところ難しい顔してたから、ちょっとは息抜きになったならよかったよ。
こっちでやってくれた方が、結衣ちゃんのがんばってる姿が近くで見られて嬉しいよ。遠慮せずこっちの席もいつでも使っていいからね」
少し考えて、片付けたテキストをバッグに仕舞った。
「よしっ。今日はそろそろ失礼します」
結衣がマスターに向かって頭を下げると、マスターは優しく微笑んでくれる。
「たまには早く帰るのもいいね」
「今日もお疲れさま。
結衣ちゃん今週末、久々にどうかしら?」
美子さんは鍋を振るジェスチャーをした。
「いいんですか!ぜひお願いします!」
結衣は思わず大きな声を出してしまう。
オアシスはお店を開ける前にマスターが豆の焙煎や加工を行っている。
コーヒーをお店で出す以外にも、豆や粉を販売していて、近隣の会社や個人の方にも販売しているそう。
マスターがまとめて配達に出ているのを見たこともあるので、結構なご贔屓様がいらっしゃる様だ。
その時間に美子さんはお店の準備をしているのだが、結衣が休みの週末に時々ランチに誘ってくれる。
ランチと言っても美子さんと一緒に作るのだ。
美子さんは料理も上手でメニューのレパートリーも多い。
「孫娘と一緒に料理してるみたいで楽しい」と結衣に料理を教えてくれる。
週末もあまり予定の入ることのない結衣にとってうれしい誘いだ。

