朝、学校で席に着いていると、香織が話しかけてきた。
「昨日、また図書館へ行ったみたいね」
どうして知っているんだって思ったけど、わりと家から近い図書館だし、たぶん他の生徒が告げ口でもしたのだろう。
「確かに行ったけど、本を読んでいただけだよ」
「へ~。あんたが純粋に本を読むために図書館へ行くなんて珍しいね」
なんて失礼な。そう思ったけど、女の子と会って、その流れで図書館へ行っただけだった。
「俺だって、図書館で調べ物をしたい時ぐらいあるよ」
心にもないことを言ってしまった。まあいいか。
とりあえず、香織との会話は終わり、授業が始まった。
今日の授業は天体を扱ったものだった。昨日、宇宙関連の本を読んでいたから、わりとスラスラと理解ができた。予習をするということはこういうことか。なんかそれが今日、実感できた気がした。
(今日も図書館へ行ってみよう)
そう思った。
学校が終わり、校門を出たときに、後ろから声がした。
「今日はまっすぐ帰りますか?」
振り向くと香織がいた。
「うーん。え~と」
と迷っていると、「図書館行くんでしょ。一緒に付きあうよ」と香織が言って、僕の横にぴたりと付いた。
香織はもともと勉強ができるので、学校の勉強のために図書館へ行く必要はない。なにか別に興味があるものがあるのか。それともただ付いていきたいだけだったのか。
そんなことを思っているうちに図書館へ着いた。
「高彦が滅多に来ない図書館だし、記念に写真でも撮っておこう」
パシャッ
そう言って、僕の横に立って、スマホを持って手を精いっぱい伸ばし、写真を撮った。
確認してみると僕と香織は一応写っていたけど、図書館はほぼ写ってなかった。良いのかな? これで。
「後で印刷しておくよ。物理的に持っていたほうが良いでしょ!」
そして、香織は中へ入るなり、すぐに本棚へ向かった。なにか目的のものがあるのかな。でも、様子を見るに、あちこちの本棚をうろうろしているようで、特に目的のものはなく、適当に探しているのかもしれない。
少しして、なにか本を持って、こちらにやってきた。香織とは同じ机に対面するかたちで座った。
『誰でもわかる やさしい物理』
そんなタイトルの本を読み始めた。香織は物理の教科もよくできるはずなので、そのレベルの本は読む必要はなさそうだ。教科書の副本というわけでもないので、何か別の知見を得るつもりだろうか。
僕は『宇宙の神秘』という本を選んだ。昨日の本と似た感じのタイトルだが、ちょっと宇宙に興味が湧いたのだ。
僕と香織が本のページ以外は視界に入らないほど読書に没頭していると、後ろから声がした。
「こんにちは」
僕は本に集中していたので、ちょっと間をおいて振り返った。
昨日の女の子、高坂 葉月であった。
「こっこんにちは」
僕はちょっと焦りながら、返事を返した。
高坂さんは本を持って、僕の隣に座ってきた。香織の視線が気になったが、追い返すわけにもいかないので、そのまま読書を続けた。
『いろんな雑草』
高坂さんの持っている本のタイトルだ。本当に植物が好きなんだな。
……
「私、帰る」
しばらくして、香織がそう言いながら、出て行った。やはり高坂さんが隣にいたのがまずかったのか。
なんとなく気まずくなり、その後、5分ほどで僕も席を立った。
「じゃあ。私も帰ります」
そう言って、高坂さんが図書館の出口まで付いてきて、その後は別れて帰った。
「昨日、また図書館へ行ったみたいね」
どうして知っているんだって思ったけど、わりと家から近い図書館だし、たぶん他の生徒が告げ口でもしたのだろう。
「確かに行ったけど、本を読んでいただけだよ」
「へ~。あんたが純粋に本を読むために図書館へ行くなんて珍しいね」
なんて失礼な。そう思ったけど、女の子と会って、その流れで図書館へ行っただけだった。
「俺だって、図書館で調べ物をしたい時ぐらいあるよ」
心にもないことを言ってしまった。まあいいか。
とりあえず、香織との会話は終わり、授業が始まった。
今日の授業は天体を扱ったものだった。昨日、宇宙関連の本を読んでいたから、わりとスラスラと理解ができた。予習をするということはこういうことか。なんかそれが今日、実感できた気がした。
(今日も図書館へ行ってみよう)
そう思った。
学校が終わり、校門を出たときに、後ろから声がした。
「今日はまっすぐ帰りますか?」
振り向くと香織がいた。
「うーん。え~と」
と迷っていると、「図書館行くんでしょ。一緒に付きあうよ」と香織が言って、僕の横にぴたりと付いた。
香織はもともと勉強ができるので、学校の勉強のために図書館へ行く必要はない。なにか別に興味があるものがあるのか。それともただ付いていきたいだけだったのか。
そんなことを思っているうちに図書館へ着いた。
「高彦が滅多に来ない図書館だし、記念に写真でも撮っておこう」
パシャッ
そう言って、僕の横に立って、スマホを持って手を精いっぱい伸ばし、写真を撮った。
確認してみると僕と香織は一応写っていたけど、図書館はほぼ写ってなかった。良いのかな? これで。
「後で印刷しておくよ。物理的に持っていたほうが良いでしょ!」
そして、香織は中へ入るなり、すぐに本棚へ向かった。なにか目的のものがあるのかな。でも、様子を見るに、あちこちの本棚をうろうろしているようで、特に目的のものはなく、適当に探しているのかもしれない。
少しして、なにか本を持って、こちらにやってきた。香織とは同じ机に対面するかたちで座った。
『誰でもわかる やさしい物理』
そんなタイトルの本を読み始めた。香織は物理の教科もよくできるはずなので、そのレベルの本は読む必要はなさそうだ。教科書の副本というわけでもないので、何か別の知見を得るつもりだろうか。
僕は『宇宙の神秘』という本を選んだ。昨日の本と似た感じのタイトルだが、ちょっと宇宙に興味が湧いたのだ。
僕と香織が本のページ以外は視界に入らないほど読書に没頭していると、後ろから声がした。
「こんにちは」
僕は本に集中していたので、ちょっと間をおいて振り返った。
昨日の女の子、高坂 葉月であった。
「こっこんにちは」
僕はちょっと焦りながら、返事を返した。
高坂さんは本を持って、僕の隣に座ってきた。香織の視線が気になったが、追い返すわけにもいかないので、そのまま読書を続けた。
『いろんな雑草』
高坂さんの持っている本のタイトルだ。本当に植物が好きなんだな。
……
「私、帰る」
しばらくして、香織がそう言いながら、出て行った。やはり高坂さんが隣にいたのがまずかったのか。
なんとなく気まずくなり、その後、5分ほどで僕も席を立った。
「じゃあ。私も帰ります」
そう言って、高坂さんが図書館の出口まで付いてきて、その後は別れて帰った。



