数日後。
学校の授業が終わり、自宅へ向かっていた。十字路で右に曲がろうとすると……
「きゃっ」
何か人のようなものがぶつかってきた。
よく見ると、以前、僕に飛び蹴りを食らわした女の子だ。今回は飛び蹴りではなく、普通に走ってぶつかってきたみたいだ。
「ごめんなさい。図書館へ行こうとして、つい走っちゃいました。この前の人ですか? 良かったら一緒に行きませんか?」
うん? よくわからない人だな。いきなり図書館へ誘うなんて。
図書館か。自発的にはあまり行きたくないが、誘われたんなら行ってみるか。
僕はその女の子と一緒に図書館へ向かった。
「高坂 葉月と申します。よろしくお願いします」
「僕は栗原 高彦だ。よろしく」
高坂さんは僕の隣に並んで歩いているけど、普通に歩いている。以前、会った時は壁を歩いていて、いや走っていたけど、あれは気のせいだったのかな。でも、そのことは聞きづらかったので、あえて聞かないことにした。
考え事をしているうちに図書館に着いた。やっぱり普通の図書館だよね。
中へ入ると、高坂さんは子供のように駆け足で本棚まで本を探しに行った。
「さて、何の本を読もうかな」
もともと図書館へ行くつもりなんてなかったので、僕はどんな本を読んだらいいのかわからなかった。
とりあえず何か読まなくてはと思い、適当に本を取ってみた。
『宇宙の秘密』
宇宙の事を調べるのは良いのだが、このタイトル名はちょっと対象年齢がちょっと低そうな気がした。
「それにしたのね。じゃあ、一緒に席で読みましょう」
高坂さんがそう言って、僕の手を引っ張った。しかたなく、僕はその本を読むことになった。
高坂さんの持っている本のタイトルは『道端の植物』だ。なんとなく僕と高坂さんはお似合いなんじゃ……って思ってきたよ。
僕は宇宙の本を読み始めた。最初は全く興味がなかったけど、読んでみると楽しい。学校の勉強もこう楽しく学べると良いなと思った。
そんなに難しい本でもなく、字も大きく印刷されているものだったので、わりと速く読み終わった。
ふと、高坂さんのほうを見てみると、まださっきの本を読んでいるようだ。顔を見てみると、ものすごく熱心に読んでいる。可愛らしいなと思ってしまった。
「高坂さんは植物が好きなんだね」
読書の途中だったが、話しかけてみた。
「はい。見たこともない物ばかりなので、興味がわきます」
うん? 確かに見たことのない植物もたくさんあるけど、身近な植物も載っているだろう。『道端の植物』ってタイトルなんだから。
そう思っていると、なにやら室内で音楽が鳴りだした。これはベートーベンの『月光』だな。どうやら閉館の知らせの音楽みたいだ。
「じゃあ、私は帰りますので」
そう言って、高坂さんは出て行った。僕も本を棚に戻して、すぐに後を追ったが、もう高坂さんの姿はなかった。
学校の授業が終わり、自宅へ向かっていた。十字路で右に曲がろうとすると……
「きゃっ」
何か人のようなものがぶつかってきた。
よく見ると、以前、僕に飛び蹴りを食らわした女の子だ。今回は飛び蹴りではなく、普通に走ってぶつかってきたみたいだ。
「ごめんなさい。図書館へ行こうとして、つい走っちゃいました。この前の人ですか? 良かったら一緒に行きませんか?」
うん? よくわからない人だな。いきなり図書館へ誘うなんて。
図書館か。自発的にはあまり行きたくないが、誘われたんなら行ってみるか。
僕はその女の子と一緒に図書館へ向かった。
「高坂 葉月と申します。よろしくお願いします」
「僕は栗原 高彦だ。よろしく」
高坂さんは僕の隣に並んで歩いているけど、普通に歩いている。以前、会った時は壁を歩いていて、いや走っていたけど、あれは気のせいだったのかな。でも、そのことは聞きづらかったので、あえて聞かないことにした。
考え事をしているうちに図書館に着いた。やっぱり普通の図書館だよね。
中へ入ると、高坂さんは子供のように駆け足で本棚まで本を探しに行った。
「さて、何の本を読もうかな」
もともと図書館へ行くつもりなんてなかったので、僕はどんな本を読んだらいいのかわからなかった。
とりあえず何か読まなくてはと思い、適当に本を取ってみた。
『宇宙の秘密』
宇宙の事を調べるのは良いのだが、このタイトル名はちょっと対象年齢がちょっと低そうな気がした。
「それにしたのね。じゃあ、一緒に席で読みましょう」
高坂さんがそう言って、僕の手を引っ張った。しかたなく、僕はその本を読むことになった。
高坂さんの持っている本のタイトルは『道端の植物』だ。なんとなく僕と高坂さんはお似合いなんじゃ……って思ってきたよ。
僕は宇宙の本を読み始めた。最初は全く興味がなかったけど、読んでみると楽しい。学校の勉強もこう楽しく学べると良いなと思った。
そんなに難しい本でもなく、字も大きく印刷されているものだったので、わりと速く読み終わった。
ふと、高坂さんのほうを見てみると、まださっきの本を読んでいるようだ。顔を見てみると、ものすごく熱心に読んでいる。可愛らしいなと思ってしまった。
「高坂さんは植物が好きなんだね」
読書の途中だったが、話しかけてみた。
「はい。見たこともない物ばかりなので、興味がわきます」
うん? 確かに見たことのない植物もたくさんあるけど、身近な植物も載っているだろう。『道端の植物』ってタイトルなんだから。
そう思っていると、なにやら室内で音楽が鳴りだした。これはベートーベンの『月光』だな。どうやら閉館の知らせの音楽みたいだ。
「じゃあ、私は帰りますので」
そう言って、高坂さんは出て行った。僕も本を棚に戻して、すぐに後を追ったが、もう高坂さんの姿はなかった。



