オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

※こちらは番外編になります。

俺達は結婚して、式は東京で挙げて、その一ヶ月後に瑠美の地元に行って、大騒ぎの披露宴になった。

東京では大人しかった瑠美は、地元ではずーっと顔をしかめていた。

それでも、ちゃんと周りに正式に夫婦になった事を伝えられた。

瑠美は秋に部署異動になり、総務に配属になった。

同じオフィス内での異動になったから、凄く助かったが、フロアが違うから、なかなか会う事はなかった。

とある日、飲み会から帰ってきたら、瑠美が口を聞いてくれない。

理由を聞いても答えない。

訳がわからない。

「ちゃんと言ってくれないとわからない」

そう言うと

「羽山さん、今日飲み会の後、違うグループの女の子と歩いてましたよね?」

ああ、駅まで帰る時に同じタイミングで一緒に歩いていた時の事か…

「なんで知ってるの?」

「私も今の部署の人とご飯食べてたんです!」

なるほど…。

「ただ駅まで歩いて少し話してただけだよ」

瑠美の機嫌はまだ直らない。

どうすればいいんだ…

「どうしたら、俺を信じられる?」

「自分で考えてください!」

入籍して、結婚式もして…

それでもまだダメなのか?

俺も完全には信用できてなかった。

あの時までは。

瑠美は身体を張って証明してみせた。

俺はどうすればいいんだ?

よくわからずネットをずっと検索していた。

なかなかいいものが思いつかず、悩んでいた時、ふと、思いついた。

恥を捨ててやるしかない。

きっとこれが俺ができる精一杯だ。

俺は"それ"が届くのを待っていた。

◇ ◇ ◇

──そして数日後

"それ"が届いた。

休日の朝、瑠美より早く起きて準備をした。

「羽山さん…どこですかぁ」

瑠美が起きた。

俺は勇気を振り絞って、瑠美に見せた。

俺の誠意を。

「なんですかそれ…」

わかってる…

自分でも馬鹿だと思ってる。

でもこれしか思いつかなかった。

"それ"は

『瑠』 『美』 『命』

と書いてある、Tシャツだった。

恥ずかしくて死にそうだった。

「羽山さん…」

瑠美の顔を見たら…

感動している。

瑠美が抱きついてきた。

「羽山さん!ありがとうございます!私信じられます!羽山さんの気持ち!」

よかった…

これで何とか乗り越えた…

「それ、毎日会社に着て行くんですよね?」


は?


「ワイシャツの下に着るんですよね?一枚だと洗うの大変なので、何枚か欲しいです」

やってしまった…

やるんじゃなかった…

でも、瑠美がそれで信用してくれてるなら…

何とか頑張るか…

──fin