オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

あの日から、羽山さんは少し変わった。

笑顔が増えて、色んな社員とのコミュニケーションも増えてきて。

なんだか別人みたい。

これが本当の羽山さん?

不思議だなぁとじーっと見ていた。

そして、今まで羽山さんと話してなかった女子社員が羽山さんに話しかけてきたり…

モヤモヤする。

羽山さんが明るくなったのは素晴らしい事だ。

だけど、敵が増えるのは嫌だ!

私だけの羽山さんなのに!

勝手にそう思ってるんだけど…

羽山さんの幸せを考えるなら、これくらい我慢しないと!

「天川、あとでミーティングするから部屋で待ってろ」

ミーティングって何…?

とりあえず部屋で待っていた。

暫くしたら、羽山さんが書類を持って入ってきた。

「これ今年度の人事評価」

「え!?」

私は渡され紙を見た。

思ったより…よかった。

「これは公平な目で判断したものだから、それはちゃんと言っとく」

うん…とても公平な意見が書かれている…。

私情を挟まない、それはいい事だ。

ちょっと辛いけど。

「私来年度からも頑張ります!」

「期待してる」

その羽山さんの怪しい笑みは一体…。

「では失礼します…」

その時、また部屋に戻されてしまった。

「来た…?」

あ…

「はい、ちゃんと来ましたよ」

羽山さんはホッとしている。

「ごめん…もしもの事考えてて、結構緊張してた」

私も少し緊張してたけど…

例え来なかったとしても、私はそれでもよかった。

でも、現実それだと色々ややこしくなるから、この方がいいんだけど。

まだ羽山さんとの時間を大切にしたいから。

「瑠美…」

気がついたら羽山さんが迫ってきた。

「業務中なのですが…」

「俺が許す」

こっちは公私混同…!

唇から心ごと持ってかれるようなキスをされて、ご機嫌な羽山さんと、フラフラな私…。

こんなキャラではなかったはず…。

そのまま休憩スペースに行ったら、鈴木さんがいた。

「天川さんお疲れ〜」

「お疲れ様です」

ニコニコしてるけど何考えてるかわからなかった鈴木さん。

過去にあった後悔からアドバイスしてくれて…。

それから少し見方が変わった。

「羽山となんかあったの?」

流石…察しがいい…

「いえ…そんな特別な事は…」

「なんか、少し昔のあいつに戻った感じがする。」

過去のトラウマから感情を封じてた羽山さん。

少しでもそれが癒えたならよかった。

「いつ結婚するの?」

「え!?」

私が固まってたら鈴木さんが笑った。

「色々顔にですぎ」

その時、後ろから刺さるような視線を感じた。

「絶対来ると思った」

なんとなく私も来ると思っていたけど…羽山さん、さっきのご機嫌が斜めになってしまった。

「瑠美の事からかうのやめろよ」

羽山さん、もう隠せてない…。

「俺にも幸せ分けてー」

鈴木さんは羽山さんをイジって戻って行った。

「何言われた?」

「ただの世間話です」

そういえば…

「羽山さん、エタクエで春のイベントやってるんですよ!」

「知ってる」

知ってるならなんで言わないんだ!

「私は今日からイベント報酬ゲットの為に頑張ります!」

「俺を放置するなよ…?」

窓から見える桜が、私達を見て微笑んでるような…そんな気がした。