オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

その日…大きな会議があるにも関わらず、事務の数人が同時に休んだ…。

それぞれ理由はバラバラだけど、その穴埋めをたった数名でこなさないといけない状態になった。

会議の準備をしたり、資料を確認したり、そこに電話や発注作業、休んだ社員の分も降りかかり…。

もう昼も休憩ができないほど大忙しだった。

途中で疲れ果てて、休憩スペースでうつ伏せになっていたら、羽山さんが来た。

「お疲れ…生きてるか…?」

「はい…なんとか」

羽山さんは自販機で買った飲み物をそっと渡してくれた。

「お前は定時で帰れ。あとは俺がなんとかするから」

羽山さん…

いい上司に恵まれて私はラッキーだ…

「天川さーん!電話来てるよー!」

遠くから営業社員の声が聞こえる。

「はい!今行きます!」

私がそっちに行こうとすると、羽山さんに止められた。

「俺が出るからお前はここで休んでろ。他の事務も参ってるだろうから後は他で回すから」

お言葉に甘えて、私はそのまま休んでいた。

葉月さんも羽山さんに声をかけられたみたいで、休憩スペースに来た。

「お疲れ様。大変だったね今日。大丈夫?」

葉月さんはあまり元気がなかった。

疲れてるからかな??

「もう帰る…?なんか顔色良くないよ…?」

突然葉月さんが涙を流した。

「私、バレンタインの日に、羽山さんに告白してて…断られて。でも、やっぱり毎日側で見てるから辛くて…」

何も言えなかった。

浮かれてニヤニヤしてた私。

わかってた。

見ていた。

なのに…

浮かれてる場合じゃなかった。

私は何も言えずただ、そこにいた。

◇ ◇ ◇

定時になって、仕事を終わらせようとしたけど…

やっぱり仕事が回ってない…

仕方ない…事務がやってた仕事が、他の人だとわかるわけがない…

ここで甘えて帰るわけにはいかない!

「もう私が後全部引き受けます!」

羽山さんが驚いていた。

「さっき帰れって言ったよな…?」

「いえ、私がやった方がこの混乱は落ち着きます…」

私はそのまま仕事モードにまた突入した。

「お前は帰れ」

「いえ、これでも後輩もいるんですから、ちゃんと先輩としてしっかり仕事したいんです!」

ヘラヘラして羽山さんに甘やかされてる場合じゃない。

私もちゃんと先輩みたいに…周りを引っ張れるようになりたいんだ。

私の圧に羽山さんが根負けして、結局私はギリギリまで仕事をした。

最後に残ったのは、私と羽山さんだけだった。

なんとか落ち着いて、立ち上がった瞬間…

めまいで倒れそうになった。

その瞬間羽山さんに受け止められた。

「だから言っただろ!?」

わかってる、無理した。

でも

「私も頑張りたかったんです。ただの平凡でのんびりマイペースに生きてるんじゃなくて、ちゃんと周りを支えたいと思ったんです…」

羽山さんはため息をついた。

「お前結構やる時はやるんだな…」

「はい、そうみたいです…」

そのまま夜の誰もいないオフィスで、不謹慎にも…

こっそりとお互いを労わった。

その瞬間足音が聞こえて、二人で隠れて急いで身だしなみを整えていたら…

警備員の人だった。

「まだ誰かいますか?」

その後、羽山さんが声をかけて事なきを得た。

二人で反省して、もう二度とこんな事はしないと誓った。