オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

チャットが届いた後、文字の打ち方がよくわからない私は、ゆっくりと文字を入力した。

『ラピスの村にいます』

送信したら直ぐにチャットがきた。

『何番のサーバーに居ますか?』

えーと…

なんか適当に入ったな。

メニュー画面から色々調べてたらわかった。

それを伝えて暫くしたら、私のキャラに近づくキャラが。

私にあいさつのジェスチャーをした。

「おー!」

つい声が出てしまった。

現れたのは人間の剣士の男キャラクターだった。

『宜しく』

チャットがきた。

私はもたもたしながら

『オンラインゲーム初心者です。宜しくお願いします。』

と入力した。

そしたら直ぐにチャットがきた。

『俺も最近始めたばかり』

よかった…お互い始めたばかりの方が気が楽だし、楽しめそう!

どこを攻略するかの話をして、私の進めたいところを伝えた。

そのキャラクターの名前は『ハヤテ』と表示されていた。

どんな人なのか気になった。

だけど、あくまでただゲームで遊ぶだけの関係。

深入りしてはいけない。

ハヤテさんは、もう攻略した場所だけど、手伝いたいからついて行くと言った。

ありがたい…!

ハヤテさんは少しした後

『装備、変えた方がいいよ』

と教えてくれた。

なんと、私のために装備一式買い替えてくれた。

ゴールドを渡そうとしたら、俺が言い出したことだから、と払わなくてよくなった。

何て優しいんだ…

至れり尽くせり。

私は凄い恵まれている。

その後、足りないメンバーはレンタルして目的の場所に向かった。

まだよくわかってない部分を色々教えてくれて、ゲームの事がわかってきて勉強になった。

しかし…

このゲーム、今までのシリーズは一人で全部クリアできてたのに、オンラインになった途端ダメダメに…

とりあえずハヤテさんの優しさに甘えて一緒にゲームを進める事にした。

町から2人で出て、目的地まで向かう時間に2人で少しだけ会話をした。

いつ頃ゲーム始めたのか、今までどんなゲームをやったかとか。

話し方とか距離感が心地よくて、この人となら楽しくゲームができそうだと思ったから、初めてフレンド申請をした。

『え!?いきなり?』

驚かれてしまった。

なんかマナーがあるのかな…。

『ごめんなさい』

私は一応謝った。

ハヤテさんは、後で申請しようとしてたから大丈夫と言ってくれた。

ハヤテさんも、そう思っていた事がとても嬉しかった。

こんな優しい人に巡り会えるなんて!

たかがゲーム。

でも人間同士のコミュニケーションがそこにはあった。

◇ ◇ ◇

──次の日

私はどうしても見たい資料があって、資料室で必死に目的のものを探していた。

ない…どににもない…

でも先輩はあると言っていた。

とりあえず、ありとあらゆる場所を探してみて、もう無理だと諦めかけた時、重心が傾いて、乗っていた脚立ごと倒れそうになった。

「わっ!」

やばい、この体制はダメージがでかい!

床に倒れると思ったら…

誰かに受け止められた。

振り返ったら、羽山さんだった。

「……気をつけろ」

またもや助けられてしまった。

「度々すみません…」

「何探してるんだ?」

「えーと、昨年の会議資料を…」

羽山さんも一緒になって探してくれた。

「これか?」

見つかった…!

「ありがとうございます!」

羽山さん…あまり表情を出さないからよく分からない人なんだけど、思ったよりいい人だ。

「羽山さんもこちらに用事があるんですか?」

「いや…通り過ぎようとした時に、見かけただけ」

その後羽山さんはすぐにどこかに行ってしまった。

少し垣間見た優しさに何故か心が揺れた。