オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

年末年始の休暇が終わり、また仕事は通常営業に戻った。

私も羽山さんも仕事モードになる。

数日経ったある日──

羽山さんが外出している間、営業部にとても美人で自信に満ち溢れた女の人が現れた。

営業の人達と仲良さそうに話していた。

誰だろう…。

「あの人、本社で働いている元営業の社員だよ。今は経営企画部にいるみたい」

先輩社員が教えてくれた。

「すごい社交的な感じな方ですね…仕事できそう…」

美人だし、明るいし、人望もありそうだし…

素敵だな…

その時、羽山さんがオフィスに戻ってきた。

「あ!羽山さん!久しぶり!」

その女の人が羽山さんに話しかけた途端、羽山さんの表情が一変した。

今まで見たことのないような…苦しそうな目をしていた。

「久しぶり」

それだけ言って、その人の前を通り過ぎて、デスクに戻った。

それからずっと羽山さんは険しい表情のままだった。

なんだろう…

あの女の人は暫く他の社員と話した後、羽山さんに声をかけてオフィスから出て行った。

どういう関係なのか知りたくて仕方がなかった。

◇ ◇ ◇

仕事が終わって、羽山さんが打ち合わせがまだ終わってなくて、最後に"お疲れ様でした"だけでも言いたかったけど、諦めて帰ろうとして、エレベーターの近くに行ったら…

あの女の人が立っていた。

私に気がついて目があった。

「あ、営業の羽山さん知らない?どこにいるか」

この人を見て羽山さん、嫌な顔してたけどなんなんだろう…。

「打ち合わせ中です」

その人は残念そうにしてたけど

「ありがとう!まだ待ってみる」

そう言って、どこかに行ってしまった。

胸がザワザワした。

でも、私はここにいてもどうしようもないと思って帰った。

◆ ◆ ◆

最悪な気分だった。

あの女の顔なんて二度と見たくなかった。

俺の心をズタズタにした奴。

どの面下げて来たんだよ。

顔を見た瞬間虫唾が走った。

あの時の思い出したくない記憶が全て蘇った。

仕事が終わって、瑠美はもういなくて…

早く帰って瑠美と話したかった。

こんな事なんか考えたくもない。

ほとんど社員が帰って、帰ろうとしたら──

あいつがまだいた。

「こんな遅くまで仕事だと思わなかった」

笑顔で立っている。

嫌な感情が湧き上がる。

無視して通り過ぎようとした。

「ねぇ、話したいの。哲治」

俺の腕に触れてきた。

「俺は何も話すことはない」

「謝りたかったの」

真剣な瞳をしていた。

「今更謝ってどうするだよ」

「また昔みたいに仲良く話せるようになりたいんだ」

は?

「なれる訳ないだろ。お前自分が何したか覚えてないのか?」

あいつは少し目を伏せて暫く考えた後、

「とりあえず今日は帰る」

エレベーターに先に乗って去った。

余計な記憶を引き摺り出したまま。