オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

クリスマスが終わって、年越しはどうしようかなーって考えてた矢先…

私はインフルエンザにかかった…

家に引きこもって、高熱の中完全にダウンしていた。

こういう時、一人でいる事の寂しさを痛感する…

実家付近で仕事を探せばよかったんだけど…

田舎すぎて仕事がないし、あっても東京と比べたら額が全然違う…

お母さんから電話がかかってきて、その声に安心した。

私を心配してくれてる人がいるって事が支えになる。

ただ──

「瑠美、彼氏まだいないの?」

「お母さんその話やめて…」

私はアラサーに突入してしまい…

東京だと30代で結婚するとかザラだけど、うちの実家だと、それは遅い。

20代前半で結婚する人が多い。

だから、色々言われる。

「実家に帰ってきたら?そっちだと一人だし、結婚もできないでしょ?子供の事もあるし…」

子供って…

それどころじゃない…

「お母さん…今時、早く結婚して子供産んでって古すぎるよ…」

実家に帰ったらこのプレッシャーを与えられると思うと、帰りたくない…

羽山さんの事は…話すとややこしくなるから黙っていよう。

その後熱を測ったら…

38.5℃

スマホで休憩時間に羽山さんからメッセージがくる。

心配してくれてる。

それだけで嬉しい。

ゲームは何とかログインできるから、羽山さんが入るタイミングで私も入って、ハヤテはあまるを抱きしめてる。

私は咳をしている…。

『好き』

『早く会いたい』

余計熱が上がる事を言ってくる。

私も早く会いたい…

◇ ◇ ◇

とうとう会社は年末年始の休みに突入し、私はやっと回復してきて、咳も落ち着いた。

ずっと寝込んでたせいで体力が落ちてて、フラフラしながらコンビニまで歩いてたら、着信があった。

「はい…」

『今どこにいる?』

「え?家の近くのコンビニですけど」

ふと視線を感じて振り返ったら…

羽山さんらしき人が立っている…

眼鏡に帽子とマスクしてわかりにくいけど、なんとなくわかる。

「羽山さんどうして…」

「いきなりごめん。断られるかもしれないけど、どうしても会いたくて…」

え…私家の住所とか言ってたっけ…

「何でここが最寄駅だと知ってるんですか…?」

「クリスマスに飯食ってた時、酔って色々話してたよ瑠美が…」

………ああ、そうだった。

自分でペラペラ喋ってた。

舞い上がって。

羽山さんは紙袋を持っていた。

「それは何ですか?」

「うちの会社の女社員が美味しいって言ってたやつ…駅に売ってたから買ってきた」

嬉しい…優しい…

「ありがとうございます!」

私はマスクして、適当な私服着て…

もっとちゃんとした格好をすればよかった…

いやこれは想定外!!

「家まで送るよ」

家まで…

病み上がりだから部屋あまり片付いてないのに…

マンションの前までしか無理!!

「いえ、自分で帰れますから…」

これ以上醜態を晒したくない…

「そんなに気を使わなくていい。一応彼氏だろ…」

そこまで言われると…

断れない…!!

結局家まで連れてきてしまった…

流石に家の中まで見せるのは嫌だったけど…

せっかく来てくれたから、少しだけ入ってもらう事にした。

「あの…部屋散らかってますが、少しだけ…」

ドアを開けて、羽山さんを入れた。

その途端、思い切り抱きしめられた。

く、苦しい…

「会いたかった」

羽山さんの想いが全身に伝わってくる。

「私もです…」

羽山さんの匂いも温もりも、私が欲しかったものだった。

羽山さんはマスク越しにキスをしてきた。

「移りますよ!?」

私はびっくりして離れた。

「予防接種してるから大丈夫」

大丈夫じゃない!!

「予防接種しても移りますよ…!!」

「うん…わかってる…でも無理だった」

あんなに仕事の時は冷静で落ち着いてるのに…

私に見せるこういう姿がとても愛しかった。

──でもこのままどうすれば…?

「ごめん。もう帰る。色々余裕がない」

余裕…

余裕とは…

何となくわかったけど、考えない事にした。

その後羽山さんを見送った後、幸せに浸りながら、少し眠った。