オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

もうすぐクリスマス…

私達はリアルでは堂々と会えないけど…

でも流石に、クリスマスだけはちゃんと会いたい…

私は悶々としていた。

オフィスビルにもさりげなく飾られてるクリスマスツリー。

街のイルミネーション。

心なしかカップルが多い。

手を繋いで、幸せそう。

私も羽山さんと、どこかデートしたいな…

休憩スペースでホットミルクティー飲みながら外の景色を見ていた。

「天川さ〜ん」

この声は…

陽気な鈴木さん。

心の中で構えてしまった。

「天川さんクリスマス何するの?羽山とどっか行くの?」

「はい!?」

私達が付き合っている事は…

この人は知らないはず…

「あの…私と羽山さんはそういう関係ではないですよ?」

「じゃあどういう関係?」

その時の鈴木さんの瞳が少しいつもと違って見えた。

「上司と部下ですが…」

この人の中では、私と羽山さんがただならぬ関係だと思っているのかな…

それは間違ってはいないんだけど。

「鈴木さんはクリスマスどうするんですか?」

とにかく話題を逸らそう。

「合コン!」

鈴木さんは笑顔で答えた。

それはそれでなんか楽しそう。

「鈴木さんは明るくて色んな人と仲良いから彼女いると思ってました」

鈴木さんは何かを考え込んでいた。

「俺…付き合ってもすぐフラれるんだよね」

余計な事言わなきゃよかった…

「羽山は長く付き合ってた人いたなぁ。そういえば」


──え?

私は頭の中が真っ白になった。

「そ…そうなんですね…」

羽山さんが長く付き合ってた人….

どんな人なんだろう…

いつ…?

呼吸が浅くなってきた。

「天川さん大丈夫??」

鈴木さんが至近距離で私の顔を覗き込んでいた。

「わっ!?」

私は思わず後ずさった。

なんかこの人怖い…!

「天川さん、羽山と何もないなら、俺と付き合わない?」

「はい!?」

この人…本気なの?

いや、なんか信用できない。

「鈴木さん揶揄わないでください!」

私は少し威嚇した。

その時鈴木さんの表情が変わった。

私の後ろを見ていた。

振り返ったら…

羽山さんが立っていた。

表情はいつもと変わらない感じがするけど…

今までの話聞いてたのかな…

「羽山こわっ!!」

鈴木さんは休憩スペースを離れて行ったけど、

「天川さん、冗談じゃないからね」

最後に…余計な事を言って行ってしまった。

あの謎の笑みはなんなんだろう。

羽山さんと違って、顔は笑ってるけど、何を考えてるかわからないタイプだな…

「あいつ厄介だな…」

鈴木さんから言われた言葉もびっくりしたんだけど…

羽山さんにずっと付き合ってた人がいる事の方が結構ダメージがでかくて…

「すみません、仕事戻ります」

羽山さんが来たのにまともに話もせず戻ってしまった。