まさか、いや、そんな、幾ら何でも。

恐る恐る、俺は乙女に尋ねる。

「間抜けな質問で恐縮なのだか」

「うむ、何だ?」

真っ直ぐに俺を見つめる乙女。

その真摯な眼差しが、否応なく不安を掻き立てる。

「もしやお前は、このまま帰宅するつもりか?」

「…まだ敵が潜んでいるのか…!?」

「!!!!!!!!!」

その返答で俺は戦慄した。

この女、筋金入りの阿呆だ…!

「たわけ、お前の敵は目の前にもいるだろう!」

「…………」

キョトンとした眼差しのまま、彼女は俺を指差す。

それも、疑問符を頭の上に浮かべたまま。

…こいつはいよいよもって筋金入りだ。