上か!

咄嗟に見上げる私。

そんな私を狙い撃ちするかのように、矢の第二波が襲い掛かってくる!

「足を止めるな、阿呆!」

紅が私の前に立ち、頭上で槍をプロペラのように回転させる!

それは、鉄壁の盾。

何物をも通す事をかなわせぬ、堅牢な城壁のようであった。

事実、降り注いできた第二波の矢は全て紅の魔槍によって弾かれる。

…その攻防の中、私は確かに見た。

裏路地の遙か上。

雑居ビルの屋上で蠢く影。

「争奪戦参加者の得物は多種多様なようだな」

紅には、私以上にはっきりと見えたらしい。

彼の優れた夜目と眼力には舌を巻く。

「弓兵か。ここでは狩場に放たれた鹿のようなものだな、俺達は」