通りの灯りが差し込む裏路地で、私と紅は身構える。

…二人だけだ。

敵の姿は見えない。

だがいる。

確かに私と紅の仕合の邪魔をし、あわよくば二人とも亡き者にし、争奪戦を有利に進めようとした姑息な輩がどこかに潜んでいる。

「……」

寒空にもかかわらず頬を伝う緊張の汗。

身じろぎ一つ出来ぬまま、私は周囲1メートルに意識を集中させる。

警戒という名の結界。

それは紅も同様だ。

彼の集中力は並みではない。

真に意識を細く尖らせていたならば、振り向かずともどんな死角からの攻撃にも反応できる。

それ程の専心だった。