信じ難い威力。

これは紅の技量なのか、それとも魔槍の破壊力なのか。

答えを出す暇もなく、私は体勢を崩す。

そこへ。

「そら、もう一撃だ」

紅の二撃目が放たれる!

先程と同じ、螺旋の動きを交えた渾身の突き!

まだ体勢を立て直せていない私の胴目掛けて、穂先は吸い込まれるように放たれ。

直後。

「ぬっ!?」

突然紅は槍の軌道を変え、背後から迫ってきた何かを弾き飛ばした!

「……紅?」

命拾いした私は、紅の不可解な行動に視線を投げかける。

「お前との決着は後日だ、乙女」

紅は私に背を向け、逆方向に槍を構えた。