「何…?」

翌日、校舎の屋上。

乙女はその宝石のような瞳を大きく見開いた。

「招待状と得物が送られてきただと!?」

「ああ」

何食わぬ顔をして、俺は頷いた。

『紅勢十郎。此度の御影の王争奪戦への参戦を許可する。拒否権は与えられず、決戦の場は御影市内のみとする』

後は昨日乙女から聞いた説明通りの事がつらつらと書き連ねられた招待状。

俺にしてみれば不幸の手紙と同種のものだった。

「…私が受け取ったものと同じだな…どうやら間違いないらしい」

俺の見せた招待状に目を通しながら、乙女は小さく呟いた。

その後視線を下げ、「何という事だ」などと芝居がかった落胆の声。

何という事だ、は俺の台詞だ。

乙女の話を聞き、所詮は他人事と考えていた俺自身にも招待状が送られてくるとは。

このような権利、迷惑以外の何物でもなかった。