御影の王

乙女はその『御影の王』争奪戦に参戦する為、招待状、そして送られてきた得物と共に、この御影市に転校してきたのだという。

「私自身は最強だの御影の王だのには興味がないのだが…御影の王は早乙女家の悲願らしくてな…」

やや自嘲気味に、乙女は笑う。

成程。

道理でこの女は尋常ならざる剣腕を持っていた訳だ。

「で…その得物とは何が送られてきたのだ?」

問いかける俺。

しかし。

「それは言えぬ」

乙女は表情を引き締めた。

「油断させておいて、実は貴方も争奪戦の参加者だという可能性もある…こちらの得物を知られぬのも、戦略のうちだからな」

慎重な事だ。

まぁ何にせよ、そのような血生臭い戦いは俺には無縁の話だ。

…やがて授業開始のチャイムが鳴り。

「まだこんな所にいたのか、早く教室に戻れ」

何かの用事で来たのだろうか、我がクラスの担任殿が屋上のドア越しに声をかけてくる。

「せいぜい頑張るがいいさ…また生きて会える事を祈っている」

俺は屋上の階段を下りていった。