そんな騒がしい毎日を送っていたある日の事。

昼休み。

「失礼する」

突然、俺の教室に乙女がやってきた。

「紅勢十郎はいるか」

下級生、しかも女だというのに、先輩である俺を呼び捨てとはどういう事か。

そんな事を思いつつも俺は応対する。

とはいえ、クラスメイトの視線が痛い。

俺と乙女が並んで立っていると、四門や宮川の視線が特にきついのだ。

まるで信じられないものを見るような視線。

一体彼らは、俺達に対してどういう感情を抱いているのか。

是非ともじっくり聞かせてもらいたい所である。

「乙女、場所を変えよう」

「ああ。私も申し出ようと思った所だ」

俺は乙女と共に教室を出て行った。