御影の王

舐めた口を利く…!

間合いの詰まったまま、私は竹刀を振るった。

揺さぶりをかけるように、上段中段と虚を交えつつ攻撃を仕掛ける。

だが、紅の動体視力の良さは尋常ではなかった。

有段者の竹刀の振りなど、素人では見切れる筈もない。

それを、どう見ても経験のない紅が、しかも打ち合いの為に作られている訳ではない箒でことごとく捌いている。

このような事、屈辱でしかない。

「けぁぁあぁっ!」

私は。

「!」

竹刀で紅の足元を払った!

勿論剣道では有り得ない攻撃だ。

しかし、卑怯汚いを問わぬ実戦剣術ではこの攻撃も有効だ。

私が幼い頃から勤しんできたのは、本来剣道ではなくこのような戦いだったのだから。

素人にはかわせない攻撃。

だから。

「な!」

紅が箒を床につけ、それを支点に体を浮かせて私の竹刀をかわしたのは、驚愕以外の何物でもなかった。