キス魔なカレシ。

 また、涙が溢れそうになった時。

 不意に郁弥くんが私の事を抱きしめる。

 「さっきの女子は僕に告白してきた子で、断ったら、無理矢理キスしてきたんだ。僕からキスした訳じゃないよ。それに、僕は可憐ちゃんの事が好きなんだ」
 「えっ?」

 郁弥くんが、私の事を好き?

 「ずっと、好きだったんだ。じゃなきゃ、キスなんてしないよ」

 郁弥くんの顔は見えないけど、声色から真剣さが伝わてくる。

 「あのね…私も、郁弥くんの事好きだよ」

 私は、勇気を振り絞って言う。

 すると、郁弥くんが抱きつくのを止めて、私の顔を見つめる。

 「なら、僕たち両想いだね」
 「うん…」

 『両想い』。

 この言葉が、恥ずかしくて私は目を伏せる。

 すると、郁弥くんが私の両頬を手で優しく覆う。

 「こら、目逸らさないで?」
 「無理だよ…。恥ずかしくて、死ぬ」
 「え〜。僕だって、恥ずかしんだよ?」

 絶対嘘だ。

 顔は少し赤らんでいるけど、いつも通りに見える。

 「あっ、疑ってるでしょ?今、凄く心臓がバクバクしてるんだよ」

 郁弥くんは、そう言うと私の手を取って自分の心臓に手を誘導する。

 確かに、心臓が早く脈打ってたいるのが、服の上からでも分かる。

 「本当だ。凄く早い」
 「でしょ?」
 「うん」
 「ねぇ。キスしたい。良いよね」

 そう言って、私が返事をするのを待たずに、キスをされる。

 「んっ…ぅん」
 「ん」

 ちゅう。

 どれくらいの時間キスしたか分からない。

 何度も何度もキスをする。

 今までにないくらい、甘くて優しいキス。