キス魔なカレシ。

 夏休みも終盤に差し掛かった頃。

 私は、郁弥くんとふたりでお祭りに来ていた。

 「浴衣似合ってるね」
 「そうかな?ありがとう」

 何だか、郁弥くんと会うのも久しぶりで、少し緊張してしまう。

 私は、照れくさくなって、前髪を撫でる。

 「それじゃ、どこから見る?」

 そう言って、さり気なく手を繋ぐ郁弥くん。

 郁弥くんって、女の子の扱いが手馴れてるって言うか…。

 何だか、少し複雑な気持ちだ。

 「暑いから、かき氷食べたいかも」
 「分かった。行こっか」
 「うん」

 郁弥くんは、私の事を何時も優先してくれている気がする。

 時々、イジワルだけど優しい郁弥くん。

 そんな、彼に私は何時も振り回されている。